「来て良かった!」

 おはようございます
2018年11月12日 月曜日です



2018秋 ありす

○ ペンション食堂 夕食どき

ヒトシは自席に置かれたメニューボードを取り上げると、
目からビールが溢れそうになった。
そして徐ろに顔をあげ他の席とテーブルセットが違う事に気がつきこう呟いた。

 ヒトシ 「やっぱり今日は来て良かったわ」

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○  回想 高速道路SA  朝

キク は、ゆっくり駐車場内に入っていくと二輪用スペースが混雑しているのに戸惑いながらも、1台分のすき間を見つけオートバイを滑り込ませた。

時刻は8時30分
約束の時間までまだ30分もある。

余裕で着いてしまったのは神戸の友人が、早朝より出発連絡をして来た写真を見て、早いのは分かっていたけど、ついつられて家を出てしまったからだ。

と言っても神戸の友人と、ここで待ち合わせてる訳ではない。
今回は目的地は同じだけどアプローチが違うため途中で出会うことはない。

はずだった。

ここでの待ち合わせはヒトシ君。
まあのんびりコーヒーでも飲みながら待つとして、スマホを取り出しメッセージを確認すると、神戸の2人はここから2つ手前のSAで休憩を取っているようで、ここには給油だけに立ち寄る様なことが書いてあったが、
おそらく彼らが給油に着く頃には僕は遥か先を走っていることだろう。

電話が鳴った。

ヒトシからだ、嫌な予感がする。

だって約束の時間まであと15分、インカム無しのヒトシが電話をかけて来る時間帯ではないはずと、思いながら電話に出ると

ヒトシ 「おーあ かんわ!」

キク 「今起きたんか? それともアクシデント?」

ヒトシ 「パンクや! いまインター手前のSSにいるねんけど、クルマのパンク修理はできても二輪は直せんって言われてん」

キク 「そうか、でもチューブレスやから4輪のパンク修理と一緒やでもう一度頼んでみろ」


とは言ったもののどうなることやら

ヒトシ 「やっぱしあかんわ、頑として受け付けん。ここではバイクは触るなと会社規定で決まってるらしい、あきらめてシイノ呼ぶわ」

シイノと言うのは彼の地元の車屋さんで、そこから助けに来るとしても最低でも1時間はかかってしまう。
そこでインターからさほど離れてない所で整備している僕の友人に相談してみたら、二つ返事で受けてくれた。

やれやれ これならまだ間に合う
そして


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早い!

ところが、
穴はデカすぎた。


かろうじて漏れは止めたがこれで高速走行は不安だと。
そう言われたら、あとはヒトシの判断に任すしか無い。



ヒトシ 「高速を走るのはやめとくわ、このままゆっくり帰ってシイノでタイヤ交換するわ、あそこにタイヤはあるねん。それからまっちゃまと一緒に夕方ありす着で行くから」

まっちゃま(60) は今日、孫の運動会が終わったら後から合流すると言っていたメンバーである。

仕方がない、
と言うことはここから1人旅になる。

スマホの画面をメッセンジャーに変えて時計を見る。
おそらく走っている時間だからメッセージを見ることは無いだろうが、
幸いな事にここで給油をすると言っていたから少なくともここに寄ってメッセージは確認するはず。

  「来るまで待つ 必ず寄って下さい」


さらに待つ事30分 2台の赤いオートバイが入ってきた。


あね  「おはようございます どうしたんですか まさか私たちを、待っとってくれたん?」

キク  「 おはよう そやで あねさんに会いたかったんよ」

あね  「へえ~ あれ ヒトっさんは?まだなん」

キク  「パンクや 朝ごはんの事やないで タイヤの空気が抜けるパンク! それで帰ってタイヤ交換してから直接ありすへ行くって」

あね  「ぢゃあキクちゃん どうするの?」

キク  「だからよ 君らと一緒に行こうと思って、寄ってくれるのを待っとったんよ こちらに回らず直接給油場所へ行かれたらどうしようかと思ってたわ」

あきお  「直接行こうかと思とったけど行ってたらどうした?」

キク  「そらダッシュでスタンド向かうわ 」

何はともあれ僕はあねさん達にくっついて一緒にありすを目指す事にした。



○ 乗鞍高原 県道

  三人は安房トンネルを抜け国道から脇の県道へ入り片側工事信号に停められた。
前に一台の軽バンが停まっている。

軽バン運転席の窓が開き運転手が手を出してきた。
先に行けと言ってるのか?親切な運転手だなあ~

信号が青に変わり軽バンの右側へ出た僕たちは、運転手に礼を言おうと覗き込んだ。

ヒトシだ!

その瞬間、僕は全てを悟った。

ヒトシ  「お~ 奇遇やの?」

キク  「タイヤあかんかったんか?」

あの後彼はシイノまで行ってタイヤを交換する手はずだったのだが、
そのタイヤがシイノには無かったらしい。
確認して帰ったんと違うみたいです。

まっちゃまからその話を聞いたのが三年前、
流石にシイノもそんな約束もしてない中古タイヤ置いておくわけ無いでしょ、
捨てられてても仕方がない。

そんな訳で彼は
心折れて、
そのまま家でふて寝でもするのかと思いきや、
なんと仕事場の軽バンで一人ありすへ向かったのでした




○ ペンションありす 夜


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ヒトシ 「やっぱり来て良かった」

あきお 「ぢゃあ明日はサポートカーとしてついて来てくれるんやろ」

ヒトシ  「あほ! そんなもんついて行けるか! 1秒で見えなくなったわ」

あね  「ぢゃあ明日は」


ヒトシ  「朝メシ食ったら帰る 朝の集合写真だけ撮って帰るわ! そやこのカメラで写真を撮ってくれ、その為にカメラだけは持って来たんや」

キク  「わかった」

カシャ! カシャ! カシャ!

キク  「流石ミラーレス一眼 ええ音しよるのう もう一枚 」

カシャ!カシャ!

キク  「ところで ファインダーに出てるこのメッセージは何やねん?」


(メモリーカードが認識されません)


ヒトシ 「あ~! しもた!!😰」

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彼がメモリーカードを入れ忘れてツーリングに来たのはこれで2度目、一緒に走れないならせめても写真だけでもと気を取り直して軽貨物でやって来た彼だったが、流石に心折れて笑う気力も失くしてしまった。

しかし、あねさんが持ちあわせていた予備のメモリーカードを貸してくれたお陰で翌朝出発前の集合写真が撮れた。


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ヒトシ  「ああ~ やっぱり 来て良かった」

持つべきものは、かみっちと あねさんと パンク治してくれた櫻木くん

 この恩 改めて心に刻むのでありました。


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