焼物語 2

おはようございます
5月29日月曜日です
焼いてきた話 第2弾 



  窯


近江八幡を歩いて、
安土で船漕いで、
しっかり太陽の光で焼いた後、
小浜で焼きました。

アメリカのオバマさんとも甲賀青春部屋別館の主でもありません、
福井県の小浜市、日本海に面した魚の美味しい小浜の事です。

ここにお住いの陶芸家の知人宅で 「窯焚きの儀」が催され、それに参加お手伝いに伺ったんです。

陶芸家と言いましても、本人はあくまでも趣味の範囲 らしい。
けれどその作品や作風を見ても、設備全てにおいて素人の域を超えています。
だからそれで生計を立てるか否かなんて関係なく、
陶芸に対する姿勢を見れば陶芸家と呼んでも不思議ではない。

と峠を愛するツーリングライダーは共感するのです。

近年の先生は、ご自身のお身体とも相談され 「窯焚きの儀」 は年に1度の開催とされています。
「窯焚きの儀」とは作品を窯に入れ焼き上げる事で、薪で36時間焚き続けます。
初日の18時に点火した窯は3日目の朝6時までの36時間燃やし続けるのです。
そしてこの36時間はただ単に薪を焚べて入れば良いというものではなく、30分置きに温度管理をして行かなければなりません。




 【 5月2日 17:00 】


用心深く門扉の扉を開け車の敷地内に乗り入れると奥の部屋から1人の青年が顔を出した。
東京から帰って来ていたタケシくんだ。
今回は大型連休中の開催とあって、先生の職場の若手スタッフも帰省などが重なり参加できないと聞いているから、タケシくんの戦力はとても重要であります。

仕事帰りに肉屋に寄っている先生を待たず、早速2人で梯子を出して来て窯小屋の屋根に登る。
毎年僕が最初に行う仕事がこの煙突の準備で、煙突に被せてあった防雨シートを取り除き代わりに傘を付ける。
火の粉が飛んでいかないように防ぐ為の物で、傘と金網で煙突出口を武装する^_^;

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ここから見る岡津港と青葉山の夕焼けはホント綺麗だ。
けれどその時までまだ1時間以上あるのでそれまでここに留まる訳にはいかず、
あとで漁港に出て見ることにしよう。


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屋根に上がっている間に助っ人のサワダさんが来ていた。
窯の点火準備は先生に任せ僕たちはテントを張る事に、
ところがこのテントたび重なる乱雑な使用に耐えきれず骨が折れていて、
しかもそこをテーピングで誤魔化して使われ続けると言う酷い労働条件で使われていたものだから、
遂に完全破断してしまいました。


流石にもう騙す事は出来ないと、タケシくんとそちらの修理にあたりました。
最初溶接でくっつけようとしましたが、
なにぶん軽量コンパクトを売りにしていたテント君、骨が薄い!
溶接の熱で簡単にとろけてしまう。

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「骨折には副え木ぢゃろ〜」と、
適当な鉄板を探して来て折れた骨の箇所にボルトで縫う事にしました。

まあ、そこそこ使える仕上がりで無事テントも設営終了。
「これでテントも転倒免れたな」

ふと顔を上げる
なんか薄暗いねんけど、
あー!しまった テントに気をとられ夕日を忘れちょった
すぐに港へ出てみましたが


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刻既に遅し
港では仕事を終えた漁師が網を片ずけている
防波堤の上で釣りをしている人の影が黒く染まるのを後に作業場に戻る。

開始から1時間、
温度はまだ40℃と行った所で先生の古い友人サワダさんが守りをしてくれていた。


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開始よりしばらくは中の作品を乾燥させる意味で、温度を上げ過ぎず注意深く薪を入れていかねばならない。
開始から2時間で100℃、
さらに2時間で200℃、
22時迄はそんな風にゆっくりと温度を上げていく。

この邪魔くさいほどの焚き過ぎない薪の管理が、最初の重要ポイントである。

窯はサワダさんが見てくれている間に僕たちは、
テーブルや椅子の準備をし快適な徹夜飲み会の場所を作っていく。

タケシくんが強制送風装置のテストを試みると、動かない!
これはえらいことや、強制送風装置がないと温度が上げられない。

どういう事かというと、まだ窯の温度が低い時は関係ないが、
温度が800℃を超えてくると、単に薪をくべているだけでは窯の中の酸素が足りなくなり、
不完全燃焼を起こして温度が上がらない。
その為、焚き口より強制的に風を送り燃焼効率を上げる強制送風装置の出番が来るわけです。


事の重要性を一番解っている先生は、
早速別の装置を出そうかとあれこれ家の中で使っていた送風装置の置き場を思い出しておられましたが、
先ずはタケシくんが修理を試みる事に。


「多分電源引き込み線が断線してるんだ思う」
そう言えば昨年、若手助っ人が焼けた火かき棒をケーブルの上に置いて断線させた事故もあったなあ〜


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テスターを当てて何処まで導通があるか調べた結果、引き込み線に2箇所も焼けた所を見つけ無事修復完了。
やれやれである。
準備が整いこれで気持ち良く火に向かえる。

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窯はいたって順調で ゆっくりゆっくり温度を上げていく





 【 5月3日 02:30 】

仮眠を終え窯焚き口に戻る。
温度は600℃辺り、この時間帯は1時間に100℃づつ上げて行く上昇過程の真っ只中で、
まだ強制送風装置の必要は無く、直に火を見ながら薪をくべる作業である。


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窯の中の薪が燃えていくさまをじっと見つめていると、
むかし理科の授業で燃焼についてこんな事を教わった記憶が蘇る。

火がついて燃えるのは必ず気体になってからで、木材や紙など固体も灯油のような液体も、
そのものに直接火がついて燃えているのでは無いと習った。

子供だった僕はローソクやアルコールランプを思い浮かべ、
点火用の火を近づけると蝋が溶け出す、
蝋は液化して芯に浸み込み、
そして気化して火がつく。

なるほどそうだったのかと納得した僕は、
頑なにその教えを信じ物質(可燃物)は温度と酸素によって蒸発ガスに変化した後火がつくと思っている。

普段から駄洒落が多い僕のこと、
またまた何処かにオチがある適当な話だろうと思ってる方も多いことでしょう。
違います。

そこで燃焼についての定義をググってみました。

「燃焼とは物質が酸素、または酸素を含む物質と急激に化合して酸化反応を起こし、その結果として多量の熱と光を伴う現象です」

?? 難しい (ー ー;) 

酸素が必要って事は解る。
でも映像化できんぞ。

では気体、液体、固体のそれぞれの燃焼メカニズムはどうかと言うと、
気体は、そのまま酸素と反応し燃焼する。
液体も、表面より蒸発したガスに酸素が加わり可燃性蒸気となり燃焼する。
固体は、蝋燭の様に液化から気化、可燃性蒸気となり燃焼。
となるものもあれば、そうで無いものもある。

なに~?
なんか表面燃焼と呼ばれ熱分解も蒸発もしないで燃える木炭の様なモノもあるらしい。
ただこれらは炎を上げないで燃焼するのが特徴。

やっぱり難しい!
固体は単純に一括りでは言えない様です。


しかし、炎を上げて燃えると言うことでは固体も可燃性蒸気になってから火がつくと言う事だね。
だったら一般的に言う燃えてると言う状態は、
全て気化してから火がつくと言い切ってもいいんじゃ無いかな(^-^)

まあ いいか(;^_^A


いろんな事を考えながら薪が燃えていくのを眺めている。

放り込まれた薪が周りの高温にさらされ、
メラメラと音を立て熱分解されて黒く色が変わる
そこから気化した蒸気が酸素と反応可燃性蒸気となり燃える。

それを目で確認しながら見つめている
可燃性物質は全て燃える

そう、
僕もいずれは焼かれていくんだろう
肉体は高温にさらされ熱分解し可燃性蒸気となり炎を上げる
感覚無いけれど熱いだろうな


骨は残るな
燃えないのか?
熱分解される温度がもっと高いのだろうか、
いやいや可燃性物質じゃ無いのだ。


火を見つめながら
己の人生を見つめる

邪まな煩悩を燃やせばどんな炎が上がるだろうか


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