そして彼は、 神奈川県民に、  なった。

4月3日月曜日です

新年度が始まりました
新しい部屋を開いた友がいます
新しい生活を始めた友もいます

そんな彼に 
 




 西田くん 送別ツーリング



 【頭島編】



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 「 1 」


龍野西SAに揃った13名の顔ぶれを見ていると、昨年の大山ツーリストトロフィーの朝を思い出す。

僕の身近のツーリング仲間は20名ぐらい居るのだけど、全員が揃って走る事はまず無い。
だいたい都合のつく5〜6人が行ったり来たりするぐらいが常の事で、
1番多く集まるのが毎年10月に行われる大山ツーリストトロフィーの時ぐらいで、
それでも15名と言ったところである。

この日の13名は、もちろん大山ツーリストトロフィー経験者で、
その中でも12名が昨年の大山ツーリストトロフィーに参加していたから、
集合場所こそ違えど、昨年の大山ツーリストトロフィーの再来という気持ちになったのは当たり前のことである。


ことの発端はこうであった。

西田くんこと西やんが、ある日
 「新天地」と言うチャットグループを立ち上げた。

新天地って、なんの真似?

 そこには 「わたくし4月から神奈川へ転勤になってしまったようです。
これからはなかなかイベントに参加出来なくなってしまいます。
取り急ぎご挨拶まで。」


彼とは大山ツーリストトロフィーで仲良くなった友人の一人で、
当時彼は神戸のKTM、チームインパラの一員として大山ツーリストトロフィーに参加していた。

僕たちどらねこ一派が大山ツーリストトロフィーに向かうときは、名神〜中国道〜米子道と高速道路を乗り継いで行く、その道中で休憩するSAにたいがい彼は居てた。

彼もまた、インパラチームと合流すべく高速のSAにいてるのだけど、
なぜかまだポツンと1人で居ることが多かった。

なんとなく、
ほんま なんとなく、

お互いに目的地が同じ様な気がして目が合う。
どちらともなく会釈する。
それは単純にお互いにライダー同士、この先も気をつけてね。
ぐらいの気持ちにだったかもしれない。

でも、なんとなく また会いそうな気がしていた
最初の出会いはこんな感じだったと思う

案の定、
大山ツーリストトロフィー会場で再会する
最初はまだお互い神戸と滋賀から来ている別々のチームという認識だった。

それからは毎年大山ツーリストトロフィーで、
我がチーム以外の参加者で1番早く再会する人物として仲良くなって行くのだった。
彼はチームインパラの中では少し大人しい感じだったが、
それは他のメンバーが関西人特有の濃い人物が多かったからかもしれない。
まあお互い関西圏と言う事で簡単に話は通じ合い仲良くなって行った。

その後チームインパラはKTM販売活動忙しく大山ツーリストトロフィーに参加しなかった時期があって、
1人淋しく参加していた西やんはついに、昨年より僕たちのチームで参加する事になったのでした。



そんなチームの一員である西やんが関東へ行くと言う。
もう大山ツーリストトロフィーにも出れないかも知れないとガックリ肩を落とす彼に、
どらねこ東京支部がある事を、
そこには鈴木さんと言う屈指のライダーが居てる事を思い出してもらい、
必ずや西やんと共に今年も大山ツーリストトロフィーに参加してくれる事を祈っておこう。


そんな西やんを励ますのにやっぱり声を上げるのはこの人しかおらんぢゃろう
 「あねさん」
あねさんの呼びかけで西やん送別ツーリングが企画され、13名の仲間が龍野西SAに集まった



 「 2 」


 龍野西SAに入って行くとやたらオートバイが多い、どうやら天候も良くいくつもの集団が動き出したようだ。
たくさんのオートバイ置いてあるのを横目で見ながら、そのまま奥のSSへ進んで行き先に燃料を補給していると1台オートバイが入って来た。

見た様な?
初めての様な?
向こうもこちらを見ている様で、
その流行りのスタイルのオートバイを給油機の横に停めてヘルメットを取ったのはうささんであった。


顔を見るまで男性だと思っていたのは
その出立が防寒を兼ねたウエアーを着ていたからか、
正面から見たオートバイのせいか定かではないが、
ヘルメットの中から現れたキリッと鼻すじが通った端正な顔立ちは紛れもなく美人である。 

しかしラフに流した髪の毛と言い、オートバイから降りた立ち振る舞いと言い、
前髪をいじる様なか弱い女性と言う雰囲気ではなく、
またそれがさっぱりとしたイメージで西やんをはじめ皆が好印象を持つ要因でもある。

彼女に聞いたところ、どうやら僕が最後だった様である。
給油を終え駐車場内をゆっくり回り込み。
知った顔が見える場所にたどり着く 「おはよう」  笑顔で迎えてくれる懐かしい顔を見渡すと、
昨年の大山ツーリストトロフィーを思い出す。


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 「 3 」


 「あのう、僕のバイク調子がイマイチなんですわ バッテリーがあがったみたいでエンジンかからへんのです」

えーっ? 朝遅れるの連絡はそれやったんか?


 「そうです、セルが回らなかって車から追い込んだらかかったんでここまで走って来たんですが、今停めたらもうダメなんです。 なんとかここでかけたら、どこかバイク屋さん寄ってバッテリー交換しますわ。それで帰りますし」

そうけ? ぢゃあ押しがけして見るか?
でも、それで掛かるんやったら1人で帰らないで、皆と一緒に居てる方が押してもらえるからいいんちゃうけ?


 「はい とりあえず押します」

そう言って次に僕が話す間も無く、けんじ君はオートバイを押して駐車場内を駆け出した。
ええ〜! 待てよ! 1人で押さなくても皆呼んで押すからよ〜


 「グンッ  プス」

それぢゃ勢い足りんやろ  ちょっと待てよ〜
言うのも聞かず、またも押して逃げるけんじ君
近くにいた仲間も追いかけるだけで手が届かない (^^ゞ


 「プッツ クスン」


追いついて、

ちょっと待てって 手伝うから、
ギヤ2速に入れて、
もう乗っておけ! 
押すから
クラッチ握って
ええから乗れ! 行くぞ!

・・・・・まだまだ
・・・・・今やクラッチ放せ

 
 「 くくく… ああ カチ 」

 なんで!  キー入れとかなあかんやろ!f^_^;




もう一回行くで  そのまま


・・・・・よし今や!

 「ボッ  ククク」


惜しい!

ちょっと待てよ 向き変えよ


すると後ろから 「ギヤ サードぐらいで行けよ!」

ようやく ひとしがやって来たので 押し役を彼に代わってもらい 僕は撮影係に下がった。


 「いくど〜 」
 
 「あれ〜?」
 
 「なんで かからへんねん?」

 「お前! そんなとこで写真撮ってんと押せよ!」


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チョット押しただけで疲れたひとしは僕を見て罵りだしたけど、
他にもたくさんいるのだから代わってもらえばええのに

一旦休もう

誰かが ヘッドライトしっかり点いてるしバッテリーぢゃ無いん違うか?と言う。
確かにライトは点いているけどセルを回すには大きな電力いるからなあ〜と思いつつも、
スイッチを押しても全くうんともすんとも言わないのは、確かにおかしいと思う。
これだけライトついていたら多少なりともカチッととかグルッとか言っても良さそうなもんなんだけどねー


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スターター回路のリレーかヒューズかも?

シートを外す
見るがヒューズらしきもには見当たらず、
朝に触ったであろうバッテリーが端子を見せてデーンと構えている。

それならもう一度ケーブルで追い込んでみようか?
そこのSSまで押してってやって借りよう それでダメだったらスターター回路のどこかやろ。


SSの店員が親切にチャーヂャーからケーブルを繋いでくれる。

スイッチを押す。

 「キュルキュル バン! ババッババッ」

1発で始動した(^.^)
やはりバッテリー電圧が低かったんだね


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そこでけんじ君はここで僕たちと別れ、途中でバッテリー交換して帰ると言う選択をしました。




 「 4 」


すったもんだした後12名になった一行は最初の目的地頭島へやって来ました。


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日生の町から大きな橋を渡り、
眼下に見える牡蠣筏が並ぶ美しい景色に見とれながら頭島に入る。
すぐに小さな小屋を発見。
ここが目的地のお好み焼き屋 「まぁー子」

今シーズン大月のマスターがよく訪れている店で、なかなか一緒に来ることが出来ずにいた所、
あねさんが予約を取ってくれたのでやっと来ることが出来た。


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小さなお店故12人全員同時にと言うわけにはいきませんでしたが、
話に聞いていた通り愛想の良い店主に迎えられ、
景色の良いロケーションも相まってほんと良い時間を過ごすことが出来全員満足(^.^)


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牡蠣が大きい!


 「どやひとし 牡蠣焼き食うけ? おお  わし  食うど オイ  か牡蠣焼きひとつしてくれ」

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何事もマイペースで自分の世界を瞬時に創り上げると言う芸の持ち主のたもっちゃんは
独特の間で牡蠣焼きの追加を頼むが、
店主のおばちゃんは一瞬自分に発せられた言葉なのか?
仲間うちでされている呪文のようなものなのか解らず、
それが呪文ならば不用意に関わらない方が身の為と察したのか気づかないフリをして
目の前のカキオコを焼くのに徹していた。


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 「・・ 牡蠣焼き  ひとつ して  くれ  牡蠣焼き  よお  おう 」

もう一度たもっちゃんが言う。


 「あっ!」

これは呪文では無いな  注文だな! そう気づいたおばちゃんは、


 「あ、はい こちら牡蠣焼きひとつ追加ね」

今聞いた言葉が呪文ではない事を肯定すべくおばちゃんは大きな声で注文を繰り返した。f^_^;


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 「ここの牡蠣大っきいな〜 焼いても大きさ変わらんやん」
 
 「ほんと大きいね〜」

 「あんな〜家で牡蠣買って来て焼いたら小そうなんねん あれなんでやろ?」

ひとしとあねさんが不思議に討論していると鉄板の向こうから

 「お水を含んどるよ!」

 「みず?」

 「そうスーパーとかで売ってる牡蠣でしょ 殻の無いやつ  あれはパックに詰めて店頭に並ぶ時は 水をタップリ吸い込んで大きく膨らんどるんよ それが鉄板で加熱すると水分が飛んで小さくなるって訳」

なるほど〜 (^.^)

6人中4人はおばちゃんの話に納得して
目の前のカキオコを摘んでは口に運んでいた。
ゆっくり食べて居たかったけどドンドンお客さんがやって来るので早々に立ち外でコーヒーブレイク。


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 「 5 」
 

 「ここは頭島の掛かりやね? この先もっと景色の良いところあるんやろうか?」

するとあっきょちゃんが島の展望台へ行きましょうと先導してくれた。
展望台はお好み焼き小屋のすぐ裏手の山へ入ったところでそれらしき建物があった。
駐車場はなく細道の路肩にオートバイを1列に停めると、乗用車が通り抜けるのにやっとと言うぐらいの幅が残る。


最初は、ここが次の目的地だと理解していない様子で
オートバイに跨ったまま前方を見ている者がほとんどであったが、
先頭のあっきょちゃんがエンジンを切り
オートバイを降りて脱いだヘルメットをミラーに引っ掛ける。
それを見て前方から何台かのオートバイが左に車体を傾けてサイドスタンドに荷重をかけた。


後方に位置していた僕は最初から目的地だと知っていたので早々とヘルメットを脱ぎ
オートバイの停車位置を確認するとともに最前列へ歩いて行った。

僕とあっきょちゃんが展望台の螺旋階段にさしかかり振り返ると、
ほぼ全員がヘルメットを脱いでこちらに向いて歩きだしていた。

展望台内部の螺旋階段を登っていく、
下から見ていたら少しだと思っていたのに螺旋階段は意外と長く感じられ危うく目が回るところだった。

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上の展望所に出た。

素晴らしい景色を見る前に停めてあるオートバイの方を見たら、
まだ2人、オートバイの所で何かをしている。


たくやんとたもっちゃんだ。

  「ほ〜!ええ景色やん」
 
 「わあ〜」
 
  「ほ〜〜っ!」

次々に後ろから登って来るメンバーがあげる声につられ、僕も反対側の海の方に目を向けた。


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 「素晴らしい」

 海に、 島に、 空、 そして
墓。


 「天気も良く最高ぢゃねー」

 「あれが小豆島かな?」

 「こう見ると大きいなあ 走ったらすぐなのに」

などと西やんとたけさんが話すのに相槌打ちながら、ぐるりと一周回って来ると、

まだ2人下に居る!


ひょっとすると、たくやんは脚にネズミ花火抱えていることを思い出した。

脚が痛いときは山城も登らずに下で待っていると言う事があったので、
今回もそれで来ないのかと思ったが、
ちと様子が違う。
何か問題が起きてるような?



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まず、たもっちゃんはヘルメットも取らず、オートバイに跨ったままだし

その姿は堂々としていて、背筋を伸ばし少し顔を上げて遠くを見ている (帰るのかな?)

それに対してたくやんは猫背で、
何か覗き込むようにたもっちゃんの喉仏を撫でている。

ジッと見ていると、急に2人の動きが開けた

そして、たもっちゃんが顔を見せた。

それで謎が解けた!

どうやら
たもっちゃんは

ヘルメットが脱げなかったらしいf^_^;

それをたくやんが助けていた。
そう言う絵であった。


 「オイオイ!たもっちゃんがヘルメット脱げへんたらし、、、いど」

そう言いながら振り返ると、そこにはもう一人ヘルメットを被ったままの姿が f^_^;


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まあ彼の場合脱げなかったんではなく脱がなかった。

目的地だと思わずに停まった彼は何かあったのか?
ぐらいの気持ちで様子を見ながらそのまま皆につられて螺旋階段を登りだしたものだから
脱ぐのが邪魔くさかっただけで ある。


しばらくして螺旋階段を登って来た2人、


 「たもっちゃん! 今まで何してたんや?」


そう聞くヘルメット姿のひとしを見て


 「べ べつに」


たもっちゃんは何も無かった素振りでそう答えた。


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